このページの要点
- 本人性と権限は別の問い。電子署名が付いていても、署名者に会社を代表する権限があることの保証にはならない。
- メールアドレスは届け先であって人ではない。共有・転送・退職者のアドレスの管理が、本人性を左右する。
- 代表者以外が署名するときは、代理権(民法99条)を確かめる。権限がなければ無権代理(同法113条・117条)の問題になる。
- 電子委任状(電子委任状法)や登記官による証明(商業登記法12条の2)は選択肢の一つ。利用の可否は所管官庁の資料で確認する。
結論:「誰が押したか」と「その人に締結する権限があるか」は、別々に確かめる
電子契約の署名の場面で、確かめるべきことは二つあります。一つは、署名の操作をした人が、署名者として表示されている本人なのかという本人性の問題です。もう一つは、その人が、その契約を締結する権限を持っているのかという権限の問題です。本人であっても、会社を代表して契約を結ぶ権限がなければ、会社との契約は成立しないことがあります。反対に、権限のある人が操作したつもりでも、実際には別の人がログインして署名していたのであれば、本人性が争われます。
紙の契約では、この二つを、署名や押印と、肩書の記載、代表者の印鑑、必要に応じて印鑑証明書や登記事項証明書の添付という、いくつかの材料で補ってきました。電子契約では、同じ役割を、メールによる認証、アクセス権限の管理、電子証明書、電子委任状といった仕組みが担います。どの仕組みで何が確かめられ、何が確かめられないのかを知っておくと、署名の前に、相手方に何を求めるか、自社は何を示すかを決められます。
- 本人性と権限は別の問い。電子署名が付いていることは、前者の手掛かりにはなっても、後者の保証にはならない。
- メールアドレスは「届け先」であって「人」ではない。リンクを開ける人が本人とは限らず、共有のアドレスや退職者のアドレスでは、誰の操作かが曖昧になる。
- 代表者以外が署名するときは、代理権(民法99条)の有無を確かめる。権限がなければ無権代理(同法113条・117条)の問題になり、相手方が保護される場合(表見代理。同法109条・110条・112条)は限られる。
- 代理権を電子的に示す仕組みとして電子委任状の制度があり、法人の代表者が会社の登記に基づく電子証明書の証明を請求できる仕組みもある(商業登記法12条の2)。どちらも、利用できる範囲は所管官庁の資料で確認が必要。
- 契約書に、署名者の肩書と、権限を有する旨の表明・保証、署名者の連絡先の変更通知を置くと、後から説明しやすくなる。
このページは、署名の時点での本人確認と権限の確認に絞って説明します。契約を結ぶ前の相手方の実在や信用の確認、署名の方式そのものの比較は、別のページで扱います。方式の違いは署名の方式を比べたページ、成立の推定が働く条件は法的効力のページをご覧ください。
署名の前に確かめる三つの問い:実在・本人性・権限
署名者について確かめたいことは、整理すると三つに分かれます。実在、本人性、権限です。三つを混ぜて「本人確認」と呼んでしまうと、確認した気になって、抜けが出ます。
署名者について確かめる三つの問い
- 1 実在:その会社や個人は、実際に存在するか商号や所在地、代表者が、公的な記録と合っているかを確かめる段階です。署名の場面以前の確認であり、電子契約のサービスの機能だけでは補えません。
- 2 本人性:署名の操作をしたのは、署名者として表示された本人かメールの受信、パスワードや認証コード、本人確認書類の確認、電子証明書の利用など、署名の操作に至る経路で確かめる段階です。仕組みによって、確かめられる強さが違います。
- 3 権限:その人は、この契約を締結する権限を持つか代表者本人か、代表者から代理権を与えられた人か、取締役会などの決定を要する契約かを確かめる段階です。署名の仕組みの外にある、会社内部の権限の問題を含みます。
実在は契約前、本人性は署名の経路、権限は会社内部の決定と代理権の授与にかかわります。署名の画面で確認できるのは、主に二つ目までです。
多くの契約書で見られる傾向として、署名欄に、氏名や会社名とあわせてメールアドレスを書かせる型があります。これは、署名の依頼を送る先を特定するためのもので、本人性を確かめる手段として働く面はあるものの、権限の確認までは担いません。メールアドレスを書かせること自体が悪いのではなく、書かせた情報が何の確認に使えるのかを、運用の側で意識しておくことが大切です。
署名の依頼を受ける側にとっても、同じ三つの問いは使えます。相手方から署名の依頼メールが届いたとき、差出人は契約の相手方本人か、依頼の内容は事前に合意した内容か、署名を求めている人は相手方の代表者か、それとも代理人か。これらを確かめないまま、画面の指示に従って署名すると、署名後に「その契約は知らない」という争いの入口を作ることがあります。
メールアドレスだけの本人確認には、限界がある
電子契約のサービスの多くは、署名者に、メールで署名用のリンクを送り、そのリンクを開いた人が署名の操作をする流れを採っています。手軽で、相手方にも負担が少ない一方で、確かめられるのは「そのメールアドレスの受信箱を使える人が操作した」という事実にとどまります。
本人確認の強さの段階(一般的な整理)
| 確認の仕組み | 確かめやすいこと | 確かめにくいこと |
|---|---|---|
| メールのリンクを開く | 指定したアドレスの受信箱にアクセスできる人が操作したこと | 受信箱を使える人が本人であること。共有・転送・他人による代行の有無 |
| リンクに加えて認証コードや二要素の認証を行う | アドレスに加え、別の経路(電話番号など)を持つ人が操作したこと | 別経路を持つ人が署名者本人であること。端末を他人が使った場合 |
| 本人確認書類の画像などを照合する | 書類に記載された人と、操作した人が一致すると判断できること | 書類の真正性の確認の程度。署名者が会社を代表する権限を持つか |
| 電子証明書を使って署名する | 証明書の発行を受けた人が、その鍵で署名したこと | 証明書の名義人が、その契約を結ぶ権限を持つか。鍵の管理が適正か |
どの段階が適切かは、契約の重要度、金額、相手方との継続的な関係、争いになったときに誰が何を立証する必要があるかで変わります。この表は、一般的な整理であり、個々のサービスがどの仕組みを採るかは、そのサービスの説明で確かめる必要があります。電子署名法の定義上、どの方式の署名が同法3条の推定の対象になるかは別の問題で、所管官庁の資料で確認が必要です。
メールアドレスの管理で起きる問題
メールの経路に頼る方式では、アドレスの管理が本人性を左右します。たとえば、次のような場面です。
- 担当者が退職したのに、その担当者の個人宛のアドレスが、会社の共有の受信箱に転送され続けている。後任者が、前任者の名前で署名の依頼を受け取り、操作してしまう。
- 部署の共有アドレスを署名者のアドレスにしている。複数人が受信箱を見られるため、署名の操作をした人を特定できない。
- 代表者のアドレスを、秘書や事務担当者が代わりに管理している。代表者の意思確認が取れないまま、リンクが開かれる。
- 署名者が、個人のアドレスと会社のアドレスを使い分けている。契約書に書いたアドレスと、現に署名依頼が送られた宛先が食い違う。
契約書には、署名者のアドレスの変更を、相手方に通知する義務を置くことができます。通知がないまま、旧アドレスに送られた署名依頼や通知は、届いたものとして扱うという定めを置く場合も、その定めが相手方の不利益に偏りすぎないか、点検が必要です。
代表者以外が署名するとき:代理権の確認
会社の契約を、代表者以外の人、たとえば部長や担当者が署名する場面は珍しくありません。民法99条1項は、代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずると定めています。裏を返せば、代理権がなければ、その契約は会社に対して効力を生じません。
代理権の有無をめぐる民法の規定
民法99条1項(代理行為の要件及び効果)
代理人が権限内で、本人のためにすることを示して行った意思表示は、本人に直接効力を生ずる。
読むとき署名欄に「会社名+肩書+氏名」を書き、本人のためにすることを示す。代理権の授与の事実が前提になる。
民法113条1項(無権代理)
代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認しなければ、本人に対して効力を生じない。
読むとき権限のない担当者が署名した契約は、会社が追認しない限り、会社を拘束しない。追認は相手方に対して行う(同条2項)。
民法117条1項(無権代理人の責任)
代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、または本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、履行または損害賠償の責任を負う。
読むとき同条2項には、相手方が代理権のないことを知っていた場合などの例外がある。署名した個人が責任を問われることがある。
民法109条・110条・112条(表見代理)
本人が代理権を与えた旨を表示した場合、権限外の行為をした場合、代理権の消滅後の場合に、第三者に正当な理由や善意無過失があれば、本人が責任を負う。
読むとき要件は個別の事情で判断される。「署名した人が会社の担当者だった」だけで、直ちに表見代理が成立するとは限らない。
当てはまるかどうかは、具体的な事実関係によります。
電子契約では、署名者が代表者本人でなくても、署名の依頼メールを受け取った担当者が、そのままリンクを開いて署名できてしまいます。そのため、紙の契約で「代表者印を押せる人は限られていた」という自然な歯止めが、電子では効きにくくなります。会社の側では、誰に署名させるのか、その権限をどのように与えるのか、金額や契約の種類による決裁の範囲を、あらかじめ決めておくことが、実質的な防御になります。
相手方の側では、署名者が代表者でないときに、次のような方法で権限を確かめることが考えられます。
署名者が代表者以外のときの確認の例
- 署名者の肩書が、契約の相手方の組織図や登記の記録と矛盾しないか。
- 代表者の名義で、署名者に権限を与えた旨の書面や電磁的記録(委任状、電子委任状)があるか。
- 契約書に、署名者が会社を代表して、またはその代理人として署名する権限を有することの表明・保証の条項があるか。
- 重要な契約について、会社内部の決定(取締役会の決議など)が必要とされていないか。必要な場合、その写しを求めるか、決定を経た旨の確認を契約書に置く。
- 署名後に、署名者の権限を追認する旨の確認を、代表者の名義で受け取れるようにしておく。
電子委任状:代理権を電磁的記録で示す仕組み
代理権の授与を、紙の委任状ではなく電磁的記録で示す仕組みが、電子委任状の普及の促進に関する法律に定められています。同法2条1項は、電子委任状を、電子契約の一方の当事者となる事業者(法人にあっては、その代表者)が、その使用人その他の関係者に代理権を与えた旨を表示する電磁的記録と定義しています。同条2項は、電子契約を、事業者が一方の当事者となる契約であって、情報通信の技術を利用する方法により契約書に代わる電磁的記録が作成されるものと定義しています。
電子委任状は、事業者の委託を受けて、これを保管し、電子契約の他方の当事者に提示する業務(電子委任状取扱業務。同条3項)を行う者を通じて使われることが想定されています。この業務については、主務大臣の認定を受けることができる制度があり(同法5条1項)、認定の要件の一つとして、取り扱う電子委任状が専ら特定電子委任状であることが挙げられています(同条3項1号)。特定電子委任状とは、委任者として記録された事業者による電子署名など、同法2条4項に定める措置が行われているものを指します。
電子委任状の普及の促進に関する法律:読み方の要点
2条1項(電子委任状)
事業者(法人は代表者)が使用人その他の関係者に、代理権を与えた旨を表示する電磁的記録。
読むとき代理権の「授与の事実」を示す記録であり、署名の中身の真正を直接保証するものではない。
2条2項(電子契約)
事業者が一方の当事者となり、契約書に代わる電磁的記録が作成される契約。
読むとき個人同士の契約は、この法律の「電子契約」の定義には含まれない。
2条3項(電子委任状取扱業務)
事業者の委託を受けて、電子委任状を保管し、他方の当事者などに提示・提出する業務。
読むとき電子委任状を扱う事業者を通じて、相手方に示す流れが想定されている。
5条1項(認定)
電子委任状取扱業務を営む者は、主務大臣の認定を受けることができる。
読むとき認定を受けるかどうかは任意。認定の有無は、公示(同条5項)で確かめる。
どのサービスが電子委任状に対応しているか、実務でどの程度使われているかは、条文からは分かりません。所管官庁の資料と、利用するサービスの説明で確認が必要です。
電子委任状の仕組みがあるからといって、電子契約のたびに電子委任状を求めなければならないわけではありません。紙の契約でも、担当者が署名するたびに委任状を取ることは多くなく、取引の重要度や継続性に応じて、権限の確認の程度を決めています。電子契約でも、同様の判断になります。ただし、会社側が署名者に権限を与える仕組みを持っているなら、その事実を電磁的記録で示せる状態にしておくと、相手方との間で権限の説明が早く済みます。
登記に基づく電子証明書:代表者であることを示す仕組み
法人の代表者が、署名に使う電子証明書について、登記官による証明を受けられる制度があります。商業登記法12条の2第1項は、電磁的記録に記録することができる情報が、被証明者の作成に係るものであることを示すために講ずる措置について、被証明者がその措置を講じたものであることを確認するために必要な事項の証明を請求できると定めています。証明は、法務大臣の指定する登記所の登記官がし(同条5項本文)、その請求は、当事者の営業所(会社にあっては本店)の所在地を管轄する登記所を経由してします(同項ただし書)。
この制度の読みどころは、二つあります。一つは、証明を受けた事項について、何人でも、変更の有無や、証明の期間が経過したかどうかなどの証明を請求できることです(同条8項)。電子証明書を使った署名を受け取った側は、その証明書が現在も有効な状態かを、確かめる手段を持てます。もう一つは、証明に合わせて、請求者が登記事項のうち所定のものの証明を請求できることです(同条3項)。署名者が会社のどのような地位にあるかを、登記の内容とあわせて確認する手掛かりになります。
この制度を利用できる者の範囲、証明できる措置の種類、手数料、請求の方法は、条文が定める政令や、デジタル庁令・法務省令で細かく定められています(同条1項・4項・9項)。そのため、実際に利用できるのかどうか、自社の署名の運用に組み込めるのかどうかは、法務省の資料で確認が必要です。ここでは、代表者の署名の信頼性を、登記の仕組みで補う選択肢があることを押さえておけば足ります。
署名の仕組みによる権限の示し方の違い
電子委任状
代理権の授与を示す
- 事業者(代表者)が、使用人などに代理権を与えた旨を表示する
- 署名者が代表者以外のときの権限の説明に向く
- 取扱いは認定を受けた事業者を通じて行うことが想定されている
登記官による証明
電子証明書の名義と登記を結びつける
- 被証明者が措置を講じたことの確認に必要な事項を、登記官が証明する
- 代表者が署名するときの信頼性を補う
- 請求は管轄登記所を経由し、手続や手数料は省令等で確認が必要
観点ごとの比較
| 観点 | 電子委任状 | 登記官による証明 |
|---|---|---|
| 主に示すこと | 誰に、どの範囲の代理権を与えたか | 署名の鍵の持ち主が、登記された会社の関係者であること |
| 向く場面 | 担当者や部長などが署名する場面 | 代表者本人が署名する場面 |
| 確認先 | 電子委任状法と所管官庁の資料 | 商業登記法12条の2と法務省の資料 |
二つは対立するものではなく、場面によって使い分けられます。いずれも、利用の可否と手続は、条文が定める省令などで確認が必要です。
個人や個人事業主と契約するとき
相手方が会社でなく、個人や個人事業主である場合は、権限の問題が単純になる反面、本人性の確認が相対的に重くなります。会社の代表者のように、登記で確かめられる組織上の地位がないためです。署名の経路が、個人のメールアドレスだけである場合、そのアドレスを本人が管理しているかどうかを、署名前に確かめておく意味が大きくなります。
- 契約書の当事者欄に、個人事業主として契約するのか、法人として契約するのかを明記する。屋号だけでは当事者が曖昧になる。
- 署名者が本人以外、たとえば家族や従業員である場合は、本人から代理権を与えられている旨を確認する。代理人が署名するなら、本人名義の委任の記録を残す。
- 署名者のアドレスが、本人専用のものか、事業用の共有のものかを確かめる。共有なら、署名の操作者を特定する方法(別の認証、確認の連絡)を加える。
- 個人の相手方が、電子署名に不慣れな場合は、操作を第三者が代行していないかを、署名後の確認の連絡で確かめる。署名前の説明の項目は署名前の説明のページで扱います。
未成年者や、判断能力に不安のある方との契約は、署名の操作の仕組みとは別に、契約の効力そのものが問題になることがあります。電子で署名したから有効、という整理はできません。本人確認の段階で年齢や状況を確かめる項目を置くかどうかは、契約の種類や相手方の属性に応じて決めることになります。
署名者の本人性・権限に関する条項の書き方
本人性と権限の確認は、署名の仕組みだけでなく、契約書の条項でも補えます。多くの契約書で見られる傾向として、署名者に関する記載は署名欄にとどまり、権限や連絡先の変更に関する定めがありません。次のような整え方が考えられます。
書き方の例(一般的な例) 署名者と権限に関する記載
署名者の肩書
理由代理権の主張が、誰のために行われた意思表示かを明らかにするため(民法99条1項)。
権限の表明
理由権限がなかった場合の責任の根拠を、契約書に残すため。
連絡先の変更
理由退職や担当替えによるアドレスの変更が、署名や通知の到達に影響するため。
署名者の変更
理由誰の操作が正当なものか、後から説明できるようにするため。
条文例権限の表明に関する条文例(一般的な型)
- 甲及び乙は、本契約の署名者が、それぞれ本契約を締結する権限を有することを表明し、保証する。
- 甲又は乙は、本契約に関する連絡先として本契約書に記載した電子メールアドレスを変更するときは、あらかじめ相手方に通知する。通知なく変更した場合に生じた不利益は、変更した当事者が負う。
- 甲又は乙は、前項のほか、本契約の履行に関する担当者を変更するときは、書面又は電磁的記録により、相手方に通知する。
上記は、一般的な型の例です。どの範囲で責任を負わせるかは、契約の種類と当事者の関係によって調整が必要です。通知を怠ったことによる不利益の定めは、相手方の事情を考えない一方的なものにならないよう、点検します。
起きがちなこと
署名者の本人確認・権限で起きがちなこと
- 署名依頼のメールが、共有の受信箱に届き、部署の誰が署名したのか分からなくなる。
- 退職した担当者のアドレス宛に署名依頼が送られ、転送を受けた別の人が操作する。
- 部長が決裁権限を超える金額の契約に署名し、会社が追認するかどうかをめぐって争いになる。
- 契約書の署名欄に肩書がなく、個人として署名したのか会社を代表して署名したのか読み取れない。
- 署名者のアドレスを書かせたが、内容を確かめず、誤記したアドレスに署名依頼が送られる。
- 代表者本人が署名したと思っていたが、事務担当者が代わりに署名の操作をしていた。
- 個人事業主として契約するはずが、屋号だけで署名され、当事者が個人か法人か分からない。
- 電子証明書を使った署名で、証明書の有効期間が過ぎていたことに、署名後に気づく。
よくあるご質問
メールアドレスだけで本人確認ができたことになりますか?
メールの受信箱にアクセスできる人が操作した、という事実が確かめられるにとどまります。そのアドレスの管理者が本人かどうか、共有や転送がないかは別の問題です。重要な契約では、認証コードなどの追加の認証や、署名後の確認の連絡で補う方法があります。
担当者が署名した契約は、会社に対して有効ですか?
担当者に代理権があれば、会社に直接効力が生じます(民法99条1項)。代理権がなければ、会社が追認しない限り、会社に対して効力を生じません(同法113条1項)。署名者の肩書や、権限を与えた記録、契約書の権限の表明条項で、後から説明できるようにしておきます。
電子委任状は、電子契約のたびに必要ですか?
法律上、電子契約のたびに電子委任状を取ることが義務づけられているわけではありません。署名者が代表者以外で、権限を相手方に示す必要が大きい場面で、選択肢の一つになります。対応しているサービスや取扱いの認定の状況は、所管官庁の資料と、サービスの説明で確認が必要です。
代表者が署名するなら、権限の確認は要りませんか?
代表者本人であれば、代理権の確認の必要は小さくなります。ただし、署名の操作を本当に代表者が行ったのかという本人性は残ります。また、重要な契約では、会社内部の決定が必要とされていないかを、別に確かめます。
署名者のメールアドレスは、契約書に書かせるべきですか?
署名の依頼や通知の送り先を特定するために、書かせる型は多く見られます。書かせる場合は、変更したときの通知義務と、通知がなかったときの扱いを、あわせて定めておくと、退職や担当替えによる食い違いを減らせます。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、契約の種類、相手方との関係、利用する電子契約サービスの仕組みによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務の経験をもとに、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や取引を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で現行の規定を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 総務省 / 法務省 / 経済産業省 / デジタル庁