電子署名法3条と民事訴訟法228条4項:成立の推定が働く条件と、働かないとき

電子署名が付いていれば自動的に3条の推定が働く、というわけではありません。推定が働く条件を条文と所管官庁のQ&Aに沿って分け、働かないときにも契約が無効にならず、他の証拠で成立を示せる理由を整理します。

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「推定が働かないなら電子契約は無効」と受け止めて本来有効な契約を結び直すのは、証明の問題と成立の問題の取り違えです。

このページの要点

  • 電子署名法2条1項の電子署名は2要件(作成者を示す・改変の有無を確認できる)。3条はさらに「本人だけが行える」ものに限る。
  • 3条の推定には、電子署名が本人の意思で行われたことも必要。署名した利用者と名義人の同一性を示す必要がある。
  • 推定が働かなくても無効にはならない。民事訴訟法247条の自由心証の下、成立の経緯の記録などで示す。
  • 所管官庁のQ&Aは法令そのものではない。公表日と改定の有無を原文で確かめて参照する。

結論:電子署名法3条の推定は「本人だけが行える電子署名」が「本人の意思で」行われたときに働く。働かなくても契約が無効になるわけではない

電子契約の法的な位置づけを一言でいえば、次のようになります。契約が成立するかどうかは、方式が自由であるという原則(民法522条2項)で決まります。他方、文書が本人の意思で作られたものとして扱われるか、つまり「成立の真正」が争われたときの証明の負担は、民事訴訟法228条4項と電子署名法3条が、紙と電子のそれぞれについて定めています。紙の契約書の本人の署名または押印に対応するのが、電子では、本人による電子署名です。

ただし、電子署名が付いていれば自動的に3条の推定が働く、というわけではありません。3条は、電子署名の中でも、これを行うために必要な符号と物件を適正に管理することにより本人だけが行えるものに限って、推定を与えています。さらに、その電子署名が本人の意思に基づいて行われたことが前提です。このページでは、条文の構造と、所管官庁が公表しているQ&Aの考え方を整理します。

このページの要点

  • 紙の契約書の「本人の署名または押印があれば真正に成立したものと推定」は民事訴訟法228条4項。電子の対応規定が電子署名法3条。
  • 電子署名法2条1項の電子署名は、「作成者を示すこと」と「改変の有無を確認できること」の2要件。3条の電子署名は、さらに「本人だけが行える」ことが必要。
  • 3条の推定が働くには、電子署名が本人の意思に基づいて行われたことも必要。署名した人と名義人が同一であることを示す必要がある。
  • 推定が働かない場合も、契約が無効になるのではなく、成立の真正を他の証拠で示すことになる(民事訴訟法247条の自由心証)。
  • 公表されたQ&Aは、法令そのものではなく、所管官庁の考え方を示す資料。最終的な判断は個別の事案で裁判所が行う。

紙の世界の仕組み:民事訴訟法228条4項と、押印・署名の役割

民事訴訟法228条1項は、文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない、と定めています。契約書を証拠として出すときは、その文書が名義人の意思で作られたものだと示す必要があるということです。ここで助けになるのが、同条4項の、私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する、という規定です。

裁判実務では、この推定が、文書上の印影が本人の印章によるものであれば本人の意思による押印と事実上推定される、という考え方と組み合わさって説明されることがあり、「二段の推定」と呼ばれています。この考え方の根拠や判断の内容は個別の裁判例に基づくもので、本ガイドでは詳細に立ち入りません。押す印章の管理が適正であることが、紙の世界の本人性の土台だった、という理解で足ります。電子署名法3条の「必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができる」という書きぶりは、この発想を電子の世界に移したものと読めます。

なお、所管官庁のQ&Aは、成立の真正を証明する手段を確保する方法について、令和2年6月19日の内閣府・法務省・経済産業省「押印についてのQ&A」にも例が公表されていることを案内しています。押印がなくても、契約書の成立の真正を他の証拠で示せることは、従来から認識されてきました。

紙の契約書と電子の契約書、成立の真正に関わる条文

民事訴訟法228条1項

文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

読むとき契約書を証拠に出す側が、本人の意思で作られたことを示す必要があるという出発点。

民事訴訟法228条4項

私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

読むとき電子の文書への当てはまりは、電子署名法3条が補う。本人「又はその代理人」とあるため、代理権の有無は別に問題になる。

電子署名法3条

電磁的記録は、本人による電子署名(本人だけが行えるものに限る)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

読むとき公務員が職務上作成したものは対象外。「本人による」「本人だけが行える」の二つの要件に分けて読む。

民事訴訟法247条

裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

読むとき推定が働かない場合も、他の証拠と全趣旨を総合して成立の真正が判断される。

条文は現行の規定に基づく整理です。

電子署名法2条1項:電子署名とは何か

電子署名法2条1項は、電子署名を、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の二つの要件のいずれにも該当するものと定義しています。

  • 1号:当該情報が、当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
  • 2号:当該情報について、改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

1号は、誰が作ったのかを示す機能、2号は、その後に内容が書き換えられていないかを確かめられる機能です。この二つを満たす措置であれば、公開鍵暗号を使った方式に限らず、法律上は電子署名に当たり得ます。逆に、画面上に手書き風のサインを入力しただけで、改変の有無を確認する仕組みが伴わないものは、少なくとも2号を満たしているかを確かめる必要があります。契約書に「電子署名」と書いてあっても、それだけで2条1項の電子署名に当たるとは限りません。

この2条1項は、「当該措置を行った者」が誰かという解釈の問題も含みます。たとえば、電子契約サービスの事業者が自らの署名鍵で署名の処理をする型では、措置を物理的に行うのは事業者ですが、所管官庁のQ&A(令和2年7月17日公表。総務省・法務省・経済産業省)は、事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化等が行われたことが担保されている場合には、「措置を行った者」は利用者であると評価し得る、という考え方を示しています。さらに、利用者や日時などの情報を付随情報として確認できるなど、全体を一つの措置と捉え直すことで、その措置が利用者の意思に基づくことが明らかになる場合には、1号の要件を満たす、とされています。型ごとの違いは、署名の方式のページで比較します。

確認の問いと理由契約書に「電子署名」と書く前に確かめる問い

  1. その署名の仕組みは、作成者を示す機能を持つか

    誰が署名したかが、署名の記録(署名者の情報、日時など)から確認できるかを見ます。電子署名法2条1項1号の要件にかかわります。

  2. 署名後の改変を検知できるか

    署名後に内容が変わると検知される仕組みかを確かめます。同項2号の要件にかかわります。

  3. 「電子署名」と書くのは、法律上の電子署名のことか、画面上のサインの意味か

    契約書の言葉は、後から争点にならないように、どの意味で使うかを揃えておきます。使い分けは条項のページで具体例を見ます。

2条1項の電子署名に当たることは、3条の推定の前提になります。3条の電子署名は、2条の電子署名の一部だからです。

電子署名法3条:推定が働く条件を二つに分けて読む

3条は、電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く)は、その記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する、と定めています。ここでいう電子署名には括弧書きがあり、「これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る」とされています。

所管官庁のQ&A(令和2年9月4日公表。その後の改定の有無は、所管官庁が公表している最新の原文で確認が必要です)は、この規定が適用されるための要件を、次の二つに整理しています。

3条の推定が働く二つの要件(Q&Aの整理)

要件内容ポイント
① 3条に規定する電子署名が付されていること2条の電子署名であることに加え、符号と物件を適正に管理して本人だけが行えるもの。他人が容易に同一の鍵を作れないことなど、「固有性」の要件と呼ばれる。そのために相応の技術的水準が要求される。
② その電子署名が本人(名義人)の意思に基づき行われたこと電子署名が名義人の意思に基づいて行われたことが必要。電子署名をした利用者と、文書の名義人が同一であることを、証拠を出す側が示す必要がある。

①の「固有性」は、鍵や認証の仕組みがどれだけ他人に作られにくいか、という技術と管理の水準の話です。②は、実際に署名ボタンを押したのが名義人本人かどうかという、人の問題です。この二つが別の要件であることを押さえると、サービスの性能だけでは足りず、署名者の確認の運用も必要な理由が分かります。

書き方の例(一般的な例) 3条の推定をめぐる受け取り方

電子署名の効力

よくある書き方電子署名が付いていれば、必ず有効で、必ず裁判で認められる。
整えた書き方電子署名が付いているだけで推定が働くのではなく、3条の要件(固有性と本人の意思)を満たす場合に推定が働く。満たさない場合も、他の証拠で示せる。

理由推定の要件と、契約の有効性、証拠の強さを別々に捉えることで、サービス選びと運用の両方に目が向く。

「本人」の意味

よくある書き方アカウントの持ち主が署名したのだから、本人の署名と考えてよい。
整えた書き方アカウントの利用者と、契約書の名義人が同一かを、登録時の確認や署名時の認証の記録などで示せるようにしておく。

理由電子署名をした利用者と名義人の同一性は、挙証する側が示す必要があるとQ&Aが整理している。

「電子署名」の語

よくある書き方電子サインの画面入力は、すべて法律上の電子署名になる。
整えた書き方画面入力に、作成者を示す機能と改変の有無を確認できる仕組みが伴うかを確かめる。

理由2条1項の2要件を満たすかが出発点で、その上で3条の固有性を考える。

「本人だけが行える」の中身:固有性をどう読むか

所管官庁のQ&Aは、事業者が自らの署名鍵で署名の処理をする型の電子契約サービスについて、3条の固有性の要件を満たすには、二つのプロセスのどちらにも十分な水準の固有性が必要としています。一つは、利用者とサービス提供事業者の間で行われる認証のプロセス、もう一つは、利用者の行為を受けて事業者の内部で行われる処理のプロセスです。どちらか一方だけが十分でも、全体として不十分なら、十分な水準の固有性があるとは認められません。

二つのプロセスと、Q&Aが挙げる例(例示であり必須ではない)

プロセス確かめることQ&Aの例示
利用者と事業者の間の認証署名しようとする人が、登録した利用者本人であることを、十分な水準で確かめているか登録済みのメールアドレスとパスワードに加えて、別の手段で得たワンタイム・パスワードの入力や、時限アクセスURLとスマートフォンのトークンアプリによる認証など。2要素認証が必須とは書かれていない。
事業者内部の処理十分な暗号の強度、適切な鍵の管理、利用者ごとの個別性を担保する仕組みがあるかアクセスや操作のログが適切に記録され、改ざんや削除ができない仕様であること、運用担当者による不正ができない設計であること、監査等で運用を確認すること、ログや仕様書等を十分な期間保存することなど。

Q&Aは、「これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理すること」の具体例として、事業者の署名鍵と利用者のパスワード(符号)、サーバーと利用者の手元にある2要素認証用のスマートフォンやトークン(物件)などを適正に管理することが該当し得る、としています。利用者の側でも、パスワードや端末を共有しない、退職者のアカウントを止める、といった運用が、適正な管理の一部になります。

Q&Aは、あるサービスが3条の電子署名に当たるかどうかについて、個別の事案の具体的な事情を踏まえた裁判所の判断に委ねられるべき事柄であるとしています。そのうえで一般論として、二つのプロセスのいずれについても十分な水準の固有性が満たされていると認められる場合には、3条の電子署名に該当するものと認められる、と述べています。サービスの仕様書や、事業者が公表している本人確認の方法は、契約を結ぶ側が確認しておく価値のある資料です。

推定が働かないとき:契約は無効にならず、成立を別の証拠で示す

3条の推定が働かない場合に、契約が無効になる、あるいは電子契約が使えないということにはなりません。Q&Aは、電子文書の成立の真正は、電子署名法3条の推定効のみによって判断されるものではなく、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により裁判所に判断される(民事訴訟法247条)、と整理しています。そして、取引開始時点で身元確認が高い水準で行われていなかった場合でも、契約当事者間における電子文書の成立過程を裏づける証拠などを提出できれば、それらも成立の真正の有効な立証手段になり得る、としています。

また、Q&Aは、サービス事業者が利用者の身元確認を行うことは、3条の推定の要件として必ず求められているものではないが、利用者と名義人の同一性の有効な立証手段の一つになり得る、と述べています。取引の当事者同士で身元確認をしている場合も、事業者が身元確認の代行を付帯サービスとして提供している場合も、同様に有効な立証手段になり得る、とされています。

推定が働かない場合に、成立を裏づける材料になりやすい記録

  • 契約に至るまでのやり取り(見積り、条件の協議、署名の依頼と応答のメールやチャット)が、時系列で残っていること。
  • 署名の記録(署名者のアカウント、日時、認証の方法、アクセス元の情報など)が、署名済みのファイルとともに保存されていること。
  • 署名者の本人確認や権限確認の記録(登録時の確認、委任状、登記事項の確認など)が残っていること。
  • 契約の履行の事実(代金の支払い、成果物の受け渡し、業務の遂行など)が、契約書の内容と一致していること。
  • 署名済みのファイルのハッシュ値やタイムスタンプなど、署名後に改変されていないことを示す情報があること。

これらは、3条の推定の代わりというより、推定が働くかどうかにかかわらず、成立の真正を裏づける材料として並行して残しておくものです。契約の重要性が高いほど、材料を多く、早い段階から整えておきます。保管の運用は時刻証明・保存のページで、トラブル時の証拠の出し方はトラブル・FAQのページで扱います。

電磁的記録の証拠調べの申出:民事訴訟法231条の2

民事訴訟法231条の2第1項は、電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、当該電磁的記録を提出し、又は当該電磁的記録を利用する権限を有する者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない、と定めています。同条2項は、電磁的記録の提出は、最高裁判所規則で定めるところにより、記録媒体を提出する方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法で行う、としています。提出の細目は、最高裁判所規則と裁判所の運用で定められるため、実際の手続の細部は、裁判所の公表資料で確認が必要です。

契約実務の観点では、この規定は、電子契約の証拠を出すときの前提を示しています。電磁的記録そのものを提出できる状態にしておくこと、そして、その記録を利用する権限を持つ人(多くの場合は契約の当事者や、データを預かるサービス事業者)から取り出せるようにしておくことです。サービスの契約が終了してデータを取り出せなくなると、この前提が崩れます。署名済みファイルのダウンロードと、サービス終了時のデータの取得方法を、契約と運用で確かめておく理由がここにあります。

認定制度との関係と、公表されたQ&Aの位置づけ

電子署名法には、電子署名を行う者の本人性を確認するための認証業務のうち、本人だけが行える電子署名について行うもの(特定認証業務)について、主務大臣の認定を受けることができる制度があります(2条3項、4条1項)。認定を受けた者は、認定認証事業者として公示されます。ただし、3条の推定が働くために、この認定を受けたサービスを使うことが法律上の要件とされているわけではなく、認定の有無は、サービスの信頼性を考える材料の一つという位置づけです。

所管官庁のQ&Aは、法令そのものではなく、所管官庁が法令の解釈や考え方を示した資料です。裁判所の判断を拘束するものではなく、Q&A自体も、サービスが3条の電子署名に該当するかは、個別の事案における具体的な事情を踏まえた裁判所の判断に委ねられるべき事柄である、と述べています。一方で、実務では判断の指針として広く参照されています。Q&Aは改定されることがあるため、参照するときは、公表日と改定の有無を所管官庁のページで確認してください。

参照する資料の整理

電子署名法2条1項関係Q&A

令和2年7月17日、総務省・法務省・経済産業省が公表。利用者の指示に基づき事業者自身の署名鍵で暗号化等を行う電子契約サービスの位置づけを示す。

読むとき「措置を行った者」の解釈と、サービス選択の考え方(契約の性質や本人確認レベルに応じて選ぶ)が書かれている。

電子署名法3条関係Q&A

令和2年9月4日公表(その後の改定の有無は、所管官庁の最新の原文で確認が必要)。3条の推定が働く要件、固有性の考え方、身元確認の位置づけ、サービス選択の留意点を示す。

読むとき2要素認証などは例示で、必須ではないと明記されている。成立の真正が推定効のみで判断されるものではないことも示されている。

Q&Aの内容は要約です。引用や参照の際は、所管官庁が公表している原文を確認してください。

起きがちなこと

法的効力の理解でよくある行き違い

  • 「電子署名なら必ず3条の推定が働く」と理解し、署名者と名義人の同一性を示す記録を残していなかった。
  • 「推定が働かないなら、電子契約は無効」と受け止め、本来は有効な契約を、紙で結び直そうとしてしまった。
  • 契約書に「電子署名法に基づく電子署名を付す」と書いたが、利用したサービスの署名の型を確かめておらず、記載と実態が合っていなかった。
  • サービス上の署名の記録(ログ)を、契約の終了とともに取り出せなくなり、署名の経緯を示す資料が足りなくなった。
  • 署名の依頼を受けた担当者が、本人の権限の確認をせずに署名してしまい、会社としての成立が争われた。

まず確かめたいのは、自分たちが使うサービスが、どの型で、どんな認証と鍵の管理をしているかです。型の違いは署名の方式のページで、署名者の権限の確認は本人・権限のページで扱います。

よくあるご質問

電子署名法3条の推定とは、どういう意味ですか?

電磁的記録に、本人による電子署名(本人だけが行えるものに限る)が行われているときは、その記録は真正に成立したものと推定される、という規定です(電子署名法3条)。「推定」とは、反対の証拠が出ない限り、真正に成立したものとして扱われるという意味で、証明の負担を軽くする仕組みです。契約が有効かどうかを決める規定ではなく、文書が本人の意思で作られたかが争われたときの証拠の扱いを定めたものです。

電子署名が付いていても、推定が働かないことはありますか?

あります。3条の電子署名に当たるには、2条1項の2要件に加えて、符号と物件を適正に管理することにより本人だけが行えるものである必要があります。さらに、その署名が本人の意思に基づいて行われたことも前提です。所管官庁のQ&Aは、サービスが3条の電子署名に該当するかは個別の事案で裁判所が判断すると述べています。推定が働かない場合も、他の証拠で成立の真正を示すことができます。

サービス事業者が署名する型でも、推定を受けられますか?

所管官庁のQ&Aは、事業者が利用者の指示に基づき自身の署名鍵で暗号化等を行う型について、2条1項の電子署名に当たり得る考え方と、3条の固有性を満たすための考え方を示しています。利用者と事業者の間の認証と、事業者の内部処理の双方が十分な水準であることが必要とされています。どのサービスがそれに当たるかは、サービスごとの仕様の評価が必要で、一律には言えません。

身元確認をしていない相手との電子契約は、証拠として使えませんか?

Q&Aは、サービス事業者による身元確認は3条の推定の要件として必ず求められるものではない、と述べています。また、取引開始時点の身元確認が高い水準でなくても、契約当事者間における成立過程を裏づける証拠などがあれば、成立の真正の立証手段になり得るとしています。ただし、身元確認の水準や防御レベルが低い場合には、真正な成立を推定するには不十分と判断される可能性がある、とも注意しています。

Q&Aは法律と同じ効力がありますか?

Q&Aは、法令そのものではなく、所管官庁が法令の解釈や考え方を示した資料です。裁判所の判断を拘束するものではなく、Q&A自体も最終的には裁判所の判断に委ねられると述べています。ただし、実務では、サービス選びや運用の指針として広く参照されています。公表日と改定の有無を、所管官庁のページで確かめてから参照します。

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