このページの要点
- 争いは、署名の否認、内容の食い違い、データの喪失、未署名の履行、署名者の権限の五つに分けて見る。
- 文書の成立は証明が必要で(民訴228条1項)、署名・押印や電子署名があれば推定が働く。働かなくても、全体の事情で成立が認められ得る(247条)。
- 署名済みのファイルは直さず、誤記は訂正の覚書か再締結で直す。サービスの解約前に、署名済みのファイルと署名の記録を取り出して保管する。
- 署名前に履行が始まったら、合意済みの内容を文書で確認し、署名依頼の有効期限(民法523条)と遡及の扱いを決める。画像の貼り付けだけの署名は、電子署名の要件を満たさないことが多い。
結論:トラブルの型を見分け、「署名の記録」「送受信の記録」「署名済みのファイル」の三つで事実を組み立てる
電子契約をめぐる争いは、紙の契約と同じく、「結んだ・結んでいない」「内容はこうだった・違った」「誰が署名した」の三つに集まります。紙の契約と違うのは、証拠が電磁的記録で、署名の裏づけがサービスの記録やメールの履歴に分散していることです。争いが起きたとき、何をどこから集めればよいかが分からなくなる場面は少なくありません。
最初にすることは、争いの型を見分けることです。次の五つに分けると、集める記録が整理しやすくなります。
- 署名の否認。相手が「署名していない」「自分の署名ではない」と主張する。
- 内容の食い違い。署名した契約書の内容に誤記がある、あるいは当事者の理解が食い違う。
- データの喪失。電子契約サービスの解約や終了、アカウントの削除で、署名済みの契約書が取り出せない。
- 未署名のままの履行。署名が完了する前に、取引が始まってしまった。
- 署名者の権限の問題。署名した人に権限があったのか。署名を行った人が退職していた、代表者ではなかった、といった場合。
どの型でも、基本となる条文は共通です。契約は方式を問わず成立し(民法522条2項)、署名がなくても成立し得ますが、争いになったときは、文書の成立が真正であることを証明しなければなりません(民事訴訟法228条1項)。署名または押印のある私文書は真正に成立したものと推定され(同条4項)、電子署名が付された電磁的記録については、本人だけが行える電子署名が行われているときに、真正に成立したものと推定されます(電子署名法3条)。推定が働くかどうかは、署名の方式と運用によって決まります。働かない場合も、契約が無効になるわけではなく、成立を別の証拠で示すことになります。
このページは、トラブルが起きたときの考え方と、備えとしての運用を扱います。推定の条文の構造は電子署名法3条と民事訴訟法228条4項のページで、署名者の確認の方法は署名者の本人確認と権限の確認のページで、保存の運用はタイムスタンプと電子契約の保存のページで扱います。
相手が「署名していない」と言うとき:否認と立証の考え方
署名の否認は、紙の契約でもっとも典型的な争いです。電子署名では、「署名した覚えがない」「別の人が操作した」「メールアドレスを勝手に使われた」といった主張の形をとります。
否認に関わる条文
民事訴訟法228条1項・4項
文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
読むとき署名や押印のある文書は、成立の真正が推定される。推定を覆すには、相手方が反証する。
電子署名法3条
電磁的記録は、本人による電子署名(本人だけが行うことができることとなるものに限る)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
読むとき推定が及ぶかどうかは、署名の方式と運用による。及ばない場合は、全体の事情で成立を示す。
民事訴訟法247条
裁判所は、口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により事実を判断する。
読むとき署名のログだけでなく、前後のやり取りや取引の経過も判断の材料になる。
否認があったときに、署名の事実を示す材料は、大きく三つに分けられます。
- 署名の操作に関する記録。電子契約サービスが保持する、署名依頼の送信、署名者の認証、署名の完了の日時と操作の記録(サービスによって名称は異なります)。
- 署名者の特定に関する事情。署名依頼を受けたアドレスが誰のものか、そのアドレスを誰が管理していたか、過去の取引で同じアドレスが使われていたか、署名者の肩書や権限。
- 署名の前後のやり取り。署名依頼の前の交渉、契約書の案の送付、署名後の履行の状況、請求書や納品の記録。
三つ目は見落とされがちですが、重要です。署名の操作の記録に争いがあっても、署名の直後に相手が契約の内容に沿った履行を始めていたり、請求書を出していたりすれば、契約が成立していたことを裏づける事情になります。逆に、署名の操作の記録しか手元になく、取引の経過の記録が乏しいと、否認に対して材料が足りなくなります。
否認の主張を受けたときの最初の動き(一般的な例)
- 1 記録を消さないサービス上の署名の記録、メール、チャットを、削除や上書きのない状態で保全する。サービスの保存期間が短い場合は、先に取り出す。
- 2 主張の中身を特定する「署名していない」のか、「署名したが内容が違う」のか、「署名者に権限がなかった」のかを、相手の言葉で整理する。型によって、集める記録が違う。
- 3 署名前後の経過を時系列にする契約書の案の送付、交渉、署名依頼、署名、履行、請求の順に、日付と根拠の記録を並べる。
- 4 断定せずに事実を伝える最初の返信では、責任の有無を断定せず、署名の記録の存在と、確認したい点を伝える。感情的な応酬を避ける。
- 5 署名の仕組みと運用を確認する利用したサービスの署名の方式と、アドレス管理の運用を確かめ、推定が及ぶかどうかの見通しを持つ。
署名した人が、会社を代表する者ではなかった、あるいは権限を超えて署名した、という場合は、署名の真正の問題というより代理権の問題になります。代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認しなければ、本人に対して効力を生じません(民法113条1項)。ただし、第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内でした行為について責任を負い(民法109条1項)、代理人が権限外の行為をした場合でも、第三者が権限があると信ずべき正当な理由があるときは、同様の責任が生じ得ます(民法110条)。署名者の肩書、これまでの取引での実績、署名依頼の宛先が会社の公式のアドレスであったかなど、相手が権限があると信じた事情が問われます。事前の確認の方法は署名者の本人確認と権限の確認のページで扱っています。
証拠の整理:何を、どの形で出せるようにしておくか
電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、その電磁的記録を提出するか、利用する権限を有する者に提出を命ずることを申し立てて行います(民事訴訟法231条の2第1項)。署名済みの契約書も、電磁的記録として提出することが原則になります。印刷した書面だけが手元にある状態は、できるだけ避けます。
電子契約の争いで集めるもの
| 記録 | 何を示すか | 保管の注意 |
|---|---|---|
| 署名済みの契約書のファイル | 合意した内容そのもの。署名後の改変の有無の確認に使う。 | 加工せず元のデータの形で保管。サービス上と手元の二重で保管する。 |
| 署名の記録(監査証跡) | 署名者、認証の方法、署名の日時、署名依頼の送信と開封の履歴。 | サービス上で取り出せる範囲と期間を確認し、必要なものを定期的に保存する。 |
| 署名依頼・完了通知のメール | 署名の依頼先、送信日時、署名完了の通知。 | ヘッダー情報が分かる形で保存。迷惑メールの振り分けの有無も確認。 |
| 契約書の案の版と送付記録 | どの版を相手に示したか。署名した版が最終版か。 | 版ごとに日付とファイル名を付して保管。 |
| 交渉・確認のやり取り | 署名前に内容を確認した事実、合意の経緯。 | メールやチャットを元の形で保存(メール・チャット・ウェブ画面の同意のページ)。 |
| 署名前の説明と同意の記録 | 内容を理解して署名したことの裏づけ。 | 説明の日時、方法、項目を記録(署名前の説明と同意の記録のページ)。 |
| 履行の記録 | 契約が成立していたことを裏づける取引の経過。 | 納品、請求、入金、連絡の記録を取引ごとにまとめる。 |
表の中で、サービス上の監査証跡は、サービスの契約が終了すると取り出せなくなる場合があります。署名済みのファイルは、サービスが保管する分だけでなく、自分の管理する場所にも置いておくことが、備えになります。画面の撮影は、補助的な記録にはなりますが、元のデータの代わりにはなりにくい点に注意します。
署名済みの契約書の誤記を直す:訂正の覚書と再締結
電子署名が付された契約書は、署名後に内容を変更すると、署名の検証で改変が検出されます。紙の契約書のように、欄外に訂正印を押して直すことは、電子ではできません。署名のあとに誤記や抜けが見つかったときは、元の契約書を直すのではなく、訂正の合意を新たに結ぶことになります。
訂正の方法には、大きく二つあります。
- 訂正の覚書。元の契約書はそのままにして、誤記の箇所と正しい内容を特定した覚書を、電子で結ぶ。元の契約書と覚書の両方が残る。
- 契約書の再締結。誤りを直した契約書を作り直し、元の契約書に代わるものとして、全文を結び直す。元の契約書をどう扱うかを定める。
条文例誤記の訂正の覚書(一般的な型)
- 甲および乙は、○年○月○日付で締結した○○契約(以下「原契約」という。)の第○条に誤記があったことを確認し、これを次のとおり訂正する。
- 訂正前:(誤った文言) 訂正後:(正しい文言)
- 前項の訂正は、原契約の締結の時にさかのぼって効力を有する。
- 本覚書に定めのない事項については、原契約の定めによる。
- 本覚書は電磁的記録として作成し、甲および乙が電子署名を付したうえで、各自保管する。この電磁的記録を原本とし、印刷したものは写しとする。
さかのぼって効力を持たせるかどうかは、誤記の性質によって決めます。単純な誤記か、当事者が合意していた内容と異なる記載かで、書き方が変わります。
誤記の内容が、当事者の合意と異なっていた場合(たとえば、合意した金額と契約書の金額が違っていた場合)、誤記を直すのか、合意の内容を新たに決めるのかで、遡及の扱いが変わります。金額や期間などの重要な条件の誤りは、直す前に、当事者が本来何を合意していたのかを、交渉の記録から確認します。確認できない場合は、訂正ではなく、新たな合意として結ぶ形になります。
訂正の覚書でも再締結でも、署名の順序、日付、成立の時期は、元の契約とは別に生じます(署名の順序・締結日・成立時期のページ)。元の契約の効力が覚書によって影響を受ける範囲を、覚書の中で明らかにしておきます。
サービスの終了・解約と、署名済みデータの取り出し
電子契約サービスを解約したり、サービス自体が終了したりすると、サービス上に保管されていた署名済みの契約書や署名の記録が取り出せなくなる場合があります。契約の期間が長いほど、この問題は現実になりやすくなります。
- 解約の前に、署名済みのファイルをすべて取り出す。契約書の本体だけでなく、署名の記録や検証に必要な情報が出力できるかも確認する。
- サービスの利用条件で、解約後のデータの扱いを確かめる。保管期間、取り出しの方法、削除の時期、費用。
- 契約書の側にも、保管の定めを置く。各当事者が署名済みの電磁的記録を自分で保管する旨と、サービスを変更するときは相手に通知する旨を定める(電子締結条項の書き方のページ)。
- 署名の検証が、後からできるかを確かめる。署名の検証にサービス側の情報が必要な場合があるため、ファイルを取り出すだけで足りるのかを、サービスの仕様で確認する。
検証の仕組みは方式によって異なり、一般論としては語りにくい部分です。所管官庁が公表している資料や、利用するサービスの説明で、署名済みのファイルの検証方法と、サービス終了時の取扱いを確かめておくことが必要です。時刻の証明と長期の保存については、タイムスタンプと電子契約の保存のページで扱っています。
相手が署名しないまま履行を始めたとき
取引を急ぐあまり、契約書への署名が完了する前に、業務や納品が始まることがあります。署名がなくても契約は成立し得るため(民法522条2項)、履行の開始は、契約が成立していたことを裏づける事情にはなります。しかし、履行が始まっただけでは、契約の内容が確定したとは限りません。
署名が完了しないまま履行が進んだ場合、次の問題が生じます。
- 内容が確定していない。報酬、納期、成果物の範囲、責任の範囲などが、まだ合意されていない可能性がある。
- 申込みの効力。承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができず、その期間内に承諾の通知を受けなかったときは、効力を失う(民法523条)。期間を定めない申込みは、承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまで撤回できない(民法525条1項)。署名依頼に有効期限があるときは、その期限を過ぎると、申込みが失効する場合がある。
- 条件が変わる。署名の依頼を受けた側が、履行を始めたあとに条件の修正を求め、署名が滞る。
署名前に履行が始まってしまったときの対応(一般的な例)
- 1 履行の範囲を確認する何をどこまで始めたのかを、日付とともに記録する。
- 2 合意済みの内容を文書にする報酬、納期、成果物の範囲など、合意できている点をメールで確認し、相手の了承の返信を得る。
- 3 署名の期限を伝える署名の完了までに履行できる範囲を限る。署名依頼の有効期限を確かめる。
- 4 署名後の遡及の扱いを決める履行の開始時点にさかのぼって契約の効力を認めるのか、署名の日からとするのかを、契約書に書く。
契約書に署名しないまま取引が進むことを防ぐには、履行の開始の条件を「署名の完了」と定めておく運用が、もっとも単純です。急ぐ事情があるときは、署名の完了を待たずに始める範囲を、メールで確認しておきます。
よくある質問:印鑑、画像の署名、共有アドレス、印刷した書面
よくある疑問と回答電子契約のよくある疑問
電子契約では、印鑑は不要ですか。
契約の成立に押印は必須ではありません(民法522条2項)。紙の契約書でも、署名や押印は成立を証明する手段で、成立の要件ではありません。電子では、押印の代わりに電子署名が使われますが、電子署名が付されていなくても、合意があれば契約は成立し得ます。ただし、契約書に「署名または記名押印する」という条項があれば、その条項に従う必要が生じる場合があります。
PDFに手書きの署名の画像を貼り付けた場合、電子署名になりますか。
電子署名法2条1項は、電子署名を、①情報が措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの、②情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるもの、の二つを満たす措置と定めています。画像を貼り付けただけでは、改変の有無を確認する仕組みがないことが多く、一般には②を満たさないと考えられます。契約としては成立し得ますが、証拠としては、署名の真正を示す材料が弱くなります。
共有のメールアドレスで署名を行った場合、誰が署名したと言えますか。
共有アドレスでは、複数の人が署名依頼を受け取れるため、署名した人を特定しにくくなります。署名欄の肩書・氏名、署名者の権限の確認、署名の記録に残る認証の方法、署名の前後のやり取りで補います。共有アドレスで署名を受ける運用は、署名者の確認の方法を別に設けておきます。
退職した人のアドレスで署名依頼が届いた場合は、どうなりますか。
退職者のアドレスに届いた署名依頼を、別の人が開いて署名すると、署名者が誰なのかが曖昧になります。署名依頼を出す前に、署名者のアドレスと権限が現在も有効かを確認します。契約書には、署名者に変更が生じたときの通知を定めます(電子締結条項の書き方のページ)。
電子契約を印刷した書面は、証拠になりますか。
印刷した書面は写しにとどまります。電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べは、電磁的記録を提出するか、提出を命ずることを申し立てて行うため(民事訴訟法231条の2第1項)、元のデータを保管しておくことが重要です。印刷物は、取引先への提出などの補助的な用途に使います。
起きがちなことと、備えの確認
トラブルの場面別、起きがちなこと
- 署名済みの契約書をサービス上にしか保管しておらず、解約の後に取り出せなくなる。
- 署名の操作の記録は残っているが、署名前後のやり取りの記録がなく、否認に対して材料が足りない。
- 署名後に誤記が見つかったが、元の契約書を直そうとして署名の検証が通らなくなる。
- 訂正の覚書を結んだが、元の契約との優先関係と遡及の扱いを書かず、訂正の効力が争われる。
- 署名が完了する前に履行を始め、署名依頼の有効期限が切れて、契約の内容が確定しないまま取引が進む。
- 共有アドレスや退職者のアドレスに署名依頼を送り、署名した人を特定できない。
- 画像を貼り付けただけの署名を、電子署名と同じ扱いにして、証拠としての力を過大に見積もる。
トラブルに備えて整えておくこと
- 署名済みの契約書を、サービス上と自分の管理する場所の二か所に保管しているか。
- 署名の記録(監査証跡)を、サービスから取り出せる範囲と期間を確認したか。
- 契約書の案の版、署名前の交渉、署名前の説明の記録を保管しているか。
- 署名者のアドレス、権限、変更時の通知を管理しているか。
- 誤記の訂正の方法(覚書か再締結か)と、遡及の扱いを決めているか。
- 署名の完了を履行の開始の条件にする運用を決めているか。
- サービスの解約・終了のときの取り出しの手順を決めているか。
電子契約のトラブルは、署名の技術そのものよりも、記録の管理と運用の抜けから生じることが多くあります。署名の方式の選び方は事業者署名型と当事者署名型の違いのページで、全体の考え方は電子契約とはのページで扱っています。
よくあるご質問
相手が「電子署名をした覚えがない」と言ってきたら、何から確認しますか。
まず、署名の操作の記録(署名依頼の送信、署名者の認証、署名の完了の日時)、署名依頼を受けたアドレスの管理者、署名前後のやり取り、署名後の履行の経過を集めます。電子署名が付された電磁的記録は、本人だけが行える電子署名が行われているときに真正に成立したものと推定されます(電子署名法3条)。推定が及ばない場合も、全体の事情で成立が認められることがあります(民事訴訟法247条)。
署名済みの契約書に誤記が見つかったら、どう直しますか。
電子署名が付された契約書は、署名後に内容を変えると改変が検出されるため、元のファイルは直さず、訂正の覚書を結ぶか、全文を再締結します。覚書には、訂正前と訂正後の文言、遡及の有無、原契約との関係を書きます。合意した内容と異なる記載だった場合は、交渉の記録から本来の合意を確かめてから決めます。
電子契約サービスを解約するとき、何に注意すればよいですか。
解約の前に、署名済みの契約書のファイルと、署名の記録を取り出し、自分の管理する場所に保管します。利用条件で、解約後のデータの保管期間、取り出しの方法、削除の時期を確認します。署名の検証にサービス側の情報が必要かどうかも、サービスの仕様で確かめます。
署名が完了する前に仕事を始めてしまいました。契約は成立していますか。
契約は申込みと承諾で成立し、書面は原則として要りません(民法522条)。履行の開始は、成立を裏づける事情になりますが、報酬や納期などの内容が合意されていなければ、内容は確定していません。合意できている点をメールで確認して了承を得て、署名後の遡及の扱いを契約書に書きます。署名依頼に有効期限があれば、期限を過ぎると申込みが失効することがあります(民法523条)。
署名した人に権限がなかったと分かったときは、契約は無効ですか。
代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認しなければ、本人に対して効力を生じません(民法113条1項)。ただし、代理権を与えた旨を表示した場合(民法109条)や、代理人が権限外の行為をした場合に第三者が権限があると信ずべき正当な理由があるとき(民法110条)は、本人が責任を負うことがあります。署名者の肩書、取引の実績、署名依頼の宛先などの事情が問われます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、契約の種類、相手方との関係、利用する電子契約サービスの仕組みによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務の経験をもとに、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や取引を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で現行の規定を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 総務省 / 法務省 / 経済産業省 / デジタル庁