紙の契約を電子へ移すとき:既存契約の扱い・変更・更新・併存

既存の紙の契約は、電子にしなくても有効です。移すなら、変更・更新・再締結のどれで行うかを先に決め、旧契約と電子の書面の関係を契約の中で説明できるようにします。

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紙の契約書に「変更は書面による」とあるとき、電子の覚書で変更しても、その「書面」に電磁的記録が含まれるのかは、覚書の中で決めておかないと争いの種になります。

このページの要点

  • 有効に成立した紙の契約は、電子に直さなくても効力を失わない。移す手段は、変更の覚書、更新時の新契約、全文の再締結の三つ。
  • 原契約の「書面」「署名または記名押印」を電磁的記録・電子署名で行えると、覚書で確認しておく。法令が書面を求める事項は別に確かめる。
  • 紙の契約書をスキャンしたファイルは写し。電子署名を付した電磁的記録とは別物で、紙の原本は相当な期間保管する。
  • 全文を再締結するときは、旧契約の権利義務と秘密保持の引継ぎ、発効日と終了日、優先関係を書く。相手が電子を望まないときは、紙で結ぶなど選択肢がある。

結論:既存の紙の契約は、電子にしなくても有効。移すなら「変更・更新・再締結」のどれで行うかを先に決める

電子契約サービスを使い始めると、「いま結んでいる紙の契約書も電子に直さなければならないのか」という疑問が出てきます。答えは、直す必要はありません。契約は、有効に成立していれば、その後に新しい方式が使われるようになったからといって、効力を失うことはありません。紙で結んだ契約は、紙のまま、契約期間の終わりまで続けて差し支えありません。

そのうえで、契約管理を一本化したい、押印や郵送の手間を減らしたい、取引先から電子での締結を求められた、といった理由で、紙から電子へ移したいという事情が出てきます。このとき、「移行」という作業は一つではなく、法的な意味の違う三つの手段に分かれます。

  • 変更。いまの契約を生かしたまま、一部の条項を電子で結んだ覚書などで変える。
  • 更新。契約期間の満了にあわせて、更新後の契約を電子で結ぶ。自動更新の契約では、更新の仕組みと電子化の扱いをあわせて考える。
  • 再締結。いまの契約を終了させ、同じ内容の新しい契約を電子で結び直す。または、契約書全体を差し替える合意をする。

どの手段を選ぶかで、旧契約と新しい電子の契約書の関係、日付、権利義務の引継ぎの書き方が変わります。紙のままの契約と電子の契約書が二重に存在したまま、優先関係が決まっていない状態が、最も紛らわしい状態です。

このページでは、既存契約を電子に移すときの考え方と、移行の条項の書き方を扱います。電子で締結する契約書の末尾条項の型は電子締結条項の書き方のページで、署名の順序や日付の決め方は署名の順序・締結日・成立時期のページで扱います。法令が書面を要件とする契約を電子に移せるかどうかは、電子化できる契約とできない契約の整理のページで確かめてください。なお、このページでは、法令ごとの書類の保存の定めは扱いません。契約の効力と、契約書の管理の実務に絞っています。

移行の四つのパターンと、それぞれの注意点

既存の紙の契約を電子に移す方法の比較

方法内容向いている場面注意点
紙のまま継続期間満了まで紙の契約書で続ける。新規の契約から電子で結ぶ。残りの期間が短い。条項の変更の予定がない。管理が紙と電子に分かれる。更新時に電子へ切り替える予定を決めておく。
更新時に電子で新契約期間満了にあわせて、更新後の契約を電子で結ぶ。更新の時期が近い。条項も見直したい。旧契約の終了日と新契約の開始日の間に空白が生じないようにする。自動更新の扱いを確認する。
期間の途中で変更覚書を電子で結ぶ原契約を維持したまま、変更したい部分を電子の覚書で変える。原契約の大半はそのままで、通知方法や署名方式だけを変えたい。覚書と原契約の優先関係、原契約中の「書面」の読み方を決める。
期間の途中で全文を電子で再締結旧契約を合意解約し、同じ内容を新契約として電子で結び直す。契約全体を新しい雛形にそろえたい。管理を一本化したい。旧契約から生じた権利義務、秘密保持、知的財産の扱いの引継ぎを新契約に書く。

表の上の二つは、旧契約を満了まで残し、新しい契約は電子で結ぶ方法で、下の二つは、期間の途中で、旧契約の内容を電子の書面で変えたり、新しい電子の契約書に入れ替えたりする方法です。変更覚書は、条項の変更が小さいときには手軽ですが、原契約と覚書の二つを読まないと全体像が分からなくなります。契約を長く続けるつもりなら、全文を差し替えて一本にまとめたほうが読みやすくなります。

確認の問いと理由手段を選ぶ前に、契約ごとに確かめる問い

  1. 残りの契約期間と、更新の時期はいつか。

    満了が近ければ、更新にあわせた新契約が最も自然な移行の機会になる。満了まで長いと、変更覚書か全文の再締結を選ぶ理由が出てくる。

  2. 更新の仕組みは、自動更新か、都度の合意か。

    自動更新は、何もしないと原契約が続く。電子への移行を更新の機会に重ねるなら、更新拒絶の通知の期限に注意が要る。

  3. 変更したい条項は、一部か、全体か。

    一部の変更なら覚書で足りる。通知、署名、保管の定めなど複数の条項に及ぶなら、全文の差替えのほうが読みやすい。

  4. 原契約に、変更の方式を縛る定めがあるか。

    「書面による」「署名または記名押印」と書かれていれば、その読み方を覚書で確認する。

  5. 相手方の署名者は、原契約のときと同じ人か。

    代表者や担当者が替わっていれば、署名者の権限を改めて確かめる(署名者の確認は別のページで扱います)。

  6. 旧契約の下で開示された情報や生じた債権債務はあるか。

    全文を再締結するなら、引継ぎの条項が要る。変更覚書なら原契約が存続するので、引継ぎの問題は生じにくい。

変更・更新を電子で行う書き方

契約の内容を変える合意も、契約と同じく、方式の定めがなければ自由にできます(民法522条2項、521条2項)。紙で結んだ契約を、電子の覚書で変えること自体は、法的な妨げはありません。ただし、原契約の側に「変更は書面による」という定めがあるときは、その定めの読み方を、覚書の中で明らかにしておくのが安全です。この論点は次の節で扱います。

電子の覚書で、紙で結んだ原契約を変更する条項は、実務でよく見られる例として、次のような型で書かれます。

条文例原契約の一部を電子の覚書で変更する条項(一般的な型)

  1. 甲および乙は、○年○月○日付で締結した○○契約(以下「原契約」という。)の一部を、本覚書のとおり変更する。
  2. 原契約第○条を次のとおり改める。(変更後の条文)
  3. 前二項に定めるもののほか、原契約の内容は従前のとおりとし、本覚書に定めのない事項については、原契約の定めによる。
  4. 本覚書と原契約の内容が矛盾する場合は、本覚書の定めが優先する。
  5. 本覚書は電磁的記録として作成し、甲および乙が電子署名を付したうえで、各自保管する。この電磁的記録を原本とし、印刷したものは写しとする。

原契約を特定する日付と名称は、契約書のとおり正確に書きます。変更しない部分は残る、という確認の項を置きます。

契約を更新するときは、更新の仕組みを確認します。実務では、①期間満了の一定期間前までに異議がなければ同じ条件で自動的に更新される型、②期間満了ごとに当事者が合意して更新する型、③期間の定めを置かず、解約の申入れまで続く型、に分かれます。自動更新の契約では、更新のたびに新しい契約書を作るわけではなく、原契約が続いている状態です。そのため、電子に移したいときに、更新の時期に新たな契約書を電子で結ぶのか、更新はそのまま続けて途中で変更覚書を入れるのかを選ぶ必要があります。

更新後の契約を電子で結ぶ場合は、旧契約の終了日と新契約の開始日の関係を確認します。旧契約が満了する日の翌日を新契約の開始日として、空白や重複をつくらないようにします。署名の遅れで、新契約の署名が旧契約の満了後になってしまった場合には、開始日を遡らせる書き方(遡及する発効日)を使うこともあります。ただし、遡及して効力を持たせる範囲と、その間の取扱いは、あわせて書いておきます(遡及の書き方は署名の順序・締結日・成立時期のページで扱います)。

原契約の「書面」「署名または記名押印」は、電子の方法を含むのか

紙で結んだ契約書には、「本契約の変更は、書面により行う」「通知は書面による」「当事者は、署名または記名押印する」といった文言が入っていることがあります。電子の覚書で変更したり、電子メールで通知したりするとき、この「書面」は電磁的記録を含むのか、という論点が生じます。

契約書の文言をどう読むかは、契約の解釈の問題です。「書面」が電磁的記録を含むかどうかは、法律が一律に決めているわけではなく、当事者の合意と契約の趣旨から判断されます。電子の方法で行った変更が、書面を要求する条項に違反して無効だと主張される余地を残さないために、覚書の中で、読み方をはっきり決めておくことが考えられます。

条文例「書面」の範囲を確認する条項(一般的な型)

  1. 甲および乙は、原契約において「書面」「書面による」と定められている事項について、電磁的記録(電子メール、電子契約サービス上の記録を含む。)によることができることを確認する。
  2. 原契約において「署名または記名押印」と定められている事項について、電子署名を付すことをもってこれに代えることができる。
  3. 前二項により電磁的記録によって行った通知および合意は、書面によって行ったものと同一の効力を有する。

法令が書面を求める事項には、契約で定めても電子にできないものがあります。契約上の「書面」の話であることを区別します。

上の条項は、当事者の間の契約上の取り決めに限った話です。法令が書面や特別の方式を要件としている事項(たとえば保証契約、定期建物賃貸借など)は、当事者が「書面に電磁的記録を含む」と合意しても、法令の要件が緩むわけではありません。電磁的記録で足りるかどうかは、個別の法令の定めを確認します。

書き方の例(一般的な例) 原契約の「書面」の扱い

電子の覚書で変更する

よくある書き方覚書の中に、原契約の「書面」の読み方を書かないまま、電子署名で結ぶ。
整えた書き方覚書に、原契約中の「書面」「署名または記名押印」を電磁的記録・電子署名で行えることを確認する条項を置く。

理由後から「書面でない変更は無効」と争われる余地を、契約の中で閉じておくため。

電子メールで通知する

よくある書き方原契約の通知条項が「書面」とだけ書かれているのに、電子メールで通知を出す。
整えた書き方通知条項を、書面または電子メールで行えるように改め、到達の時点とアドレスの変更の扱いを加える(電子締結条項の書き方のページの通知条項の型)。

理由通知は解除や更新拒絶に使われるため、方式で争われないようにしておく価値が大きい。

紙の原本とスキャンした電子ファイル:どちらが原本か

紙の契約書をスキャンして電子ファイルにすると、保管や検索が楽になります。ここで区別すべきなのは、①紙の契約書を電子化した写し(スキャンデータ)と、②最初から電磁的記録として作成し、電子署名を付した契約書の二つです。前者は、紙の契約書が原本であり、スキャンしたファイルはその写しです。後者は、電磁的記録そのものが原本です。

紙の原本をスキャンしても、紙の原本が不要になるわけではありません。争いになったとき、原本の提出を求められる可能性があり、また契約書の上の署名や押印の筆跡・印影、紙の状態が問題になることもあるからです。紙の原本は、契約の存続中と、その後の相当な期間、保管しておくのが無難です。なお、法令が契約書などの書類の保存を求めている場合は、その法令が定める期間と方法に従います。このページでは、そうした法令ごとの保存の定めは扱いません。

スキャンしたファイルの管理では、次の点を決めておきます。

  • スキャンの範囲。契約書本体だけでなく、別紙、添付資料、署名ページ、訂正印のある頁まで含める。
  • ファイルの名前と保存場所。契約の名称、相手方、契約日がファイル名から分かるようにし、紙の原本の保管場所も記録しておく。
  • 電子の写しと紙の原本の対応。どの紙の原本に対応する電子ファイルなのかを、台帳で結びつける。
  • 電子ファイルに署名が付されていないこと。スキャンしたファイルに電子署名が付されていなければ、それは写しにとどまり、電子署名を付した契約書とは別物である。

紙で結んだ契約書を、あとから電子署名サービスにアップロードして、当事者が電子署名を付す方法もあります。このとき、電子署名が付されるのは、紙の契約書のスキャンデータです。電子署名によって、署名が付された時点以降の改変の有無は確認できますが、スキャンの元の紙と一致していることまでは、電子署名では分かりません。契約書の内容を合意した証として電子署名を付すのであれば、最初から電磁的記録として作成した契約書に署名するほうが、成立の経緯の説明がつきやすくなります。

二重締結を避ける:同じ内容の紙と電子が並ぶとき

紙で結んだ契約書と同じ内容の契約を、電子でも結んでしまうと、「どちらの契約書が有効なのか」「条件が食い違っているときはどちらに従うのか」が曖昧になります。移行の途中で起きがちな二重締結には、いくつかのパターンがあります。

移行で二重にならないようにする手順(一般的な例)

  1. 1 対象の契約を一覧にする紙の契約書の名称、相手方、期間、更新の仕組み、変更条項の有無を一覧にする。
  2. 2 移行の手段を契約ごとに決める変更覚書、更新時の新契約、全文の差替えのうち、どれで電子に移すかを決める。
  3. 3 旧契約との関係を文書で定める旧契約を終了させるのか、引き継ぐのか、優先関係はどうかを、覚書または新契約に書く。
  4. 4 日付を整理する新契約の発効日、旧契約の終了日、遡及の有無を決める。
  5. 5 紙の原本と電子の記録を結びつける旧契約の紙の原本の保管場所と、新契約の電磁的記録の保存場所を台帳に記録する。

手順の順序は一例です。契約の種類や相手方との関係で入れ替わります。

全文を電子で再締結する場合、最も重要なのは、旧契約から生じた権利義務の扱いです。旧契約の終了と同時に、旧契約で生じた債権債務、秘密保持の義務、知的財産権の帰属、成果物の取扱いが消えてしまわないよう、新契約に「旧契約に基づき生じた権利義務は新契約に引き継がれる」「旧契約の秘密保持の義務は存続する」といった条項を置きます。引継ぎの条項を置かずに旧契約を合意解約すると、旧契約に基づいて開示された情報の保護が不明確になることがあります。

条文例旧契約から新契約への引継ぎ(一般的な型)

  1. 甲および乙は、○年○月○日付で締結した○○契約(以下「旧契約」という。)を、本契約の発効日をもって終了させる。
  2. 旧契約に基づいて生じた権利義務は、本契約に別段の定めがある場合を除き、本契約に基づく権利義務として引き継がれる。
  3. 旧契約の秘密保持に関する定めに基づき保護される情報は、本契約の秘密保持の定めにより保護されるものとする。
  4. 旧契約に関する紙の原本は、甲および乙がそれぞれ保管する。

旧契約に基づく未払の対価や未納品の成果物がある場合は、その扱いを個別に書きます。

相手が電子での締結を望まないとき

電子契約を導入しても、取引先がすべて電子での締結に対応してくれるとは限りません。相手方に、社内の規程で紙の押印を求めるルールがある、使えるデバイスや環境に制約がある、署名の操作に不安がある、といった事情があることは珍しくありません。

契約をするかどうか、どのような方式で結ぶかは、原則として当事者が自由に決められます(民法521条、522条2項)。電子での締結を相手方に義務づける根拠は、特別な事情がない限りありません。したがって、相手方が電子を望まないときは、次のような選択肢から選ぶことになります。

  • 紙で結ぶ。相手方との契約だけ紙で結び、契約管理上の扱いを分ける。
  • 電子と紙を併記した契約書で、署名の方法を選んでもらう。併記型の条項(電子締結条項の書き方のページ)を使うが、混在した署名は避ける。
  • 紙で結び、電子の写しを共有する。紙の契約書に署名と押印をしてもらい、スキャンした電子ファイルを双方が保管する。
  • 理由を聞いて、不安を解消する。電子署名の仕組み、署名後の控えの受け取り方、署名を行うための手順を説明する(署名前の説明と同意の記録のページ)。

相手方が電子を拒む理由が、電子署名の効力への疑問にあることもあります。電子署名が付された電磁的記録は、本人だけが行える電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定されますが(電子署名法3条)、これは方式や運用によって変わります。説明の仕方は電子署名法3条と民事訴訟法228条4項のページが参考になります。

起きがちなことと、移行の前の確認

移行の場面別、起きがちなこと

  • 更新の時期に電子の新契約を結んだが、旧契約の自動更新が止まっておらず、二つの契約が重なって存在する。
  • 電子の覚書で変更したが、原契約の「書面による変更」の定めの読み方を決めておらず、変更の効力を争われる。
  • 全文を再締結したが、旧契約の秘密保持の定めの引継ぎがなく、旧契約の期間に開示した情報の保護が不明確になる。
  • 紙の契約書をスキャンしたことで安心し、紙の原本の保管場所の記録を残さず、後で原本が見つからなくなる。
  • 紙の契約書のスキャンデータに電子署名を付し、最初から電磁的記録として作成した契約書と同じものとして扱ってしまう。
  • 相手方に電子での署名を強く求め、署名の操作が不安で署名が遅れ、新契約の開始日に間に合わない。

紙から電子へ移す前の確認

  • 紙の契約書を一覧にして、名称・相手方・期間・更新の仕組みを確認したか。
  • 契約ごとに、変更・更新・再締結のどれで移すかを決めたか。
  • 原契約の「書面」「署名または記名押印」の読み方を、覚書で確認する条項を入れたか。
  • 旧契約と新契約の優先関係、発効日、遡及の有無を決めたか。
  • 旧契約から生じた権利義務と秘密保持の引継ぎを書いたか。
  • 紙の原本の保管場所と、電子の記録の保存場所を結びつけて記録したか。
  • 相手方が電子を望まない場合の代替の手段を決めたか。

紙から電子への移行は、一度に全部を切り替える必要はなく、契約の更新や変更の機会にあわせて少しずつ進めていくのが現実的です。そのうえで、旧契約と新しい電子の記録の関係を、契約の中で説明できるようにしておきます。移行後の署名や記録に関するトラブルは電子契約のトラブルとよくある質問のページで、署名者の本人確認は署名者の本人確認と権限の確認のページで扱っています。

よくあるご質問

いま結んでいる紙の契約書も、電子に直さなければなりませんか。

直す必要はありません。有効に成立した契約は、その後に電子契約が使われるようになったことで効力を失うことはなく、紙のまま期間満了まで続けて差し支えありません。電子に移したい場合は、変更の覚書、更新時の新契約、全文の再締結のうち、契約ごとに手段を選びます。

紙の契約書の内容を電子の覚書で変更できますか。

契約の変更の合意にも方式の定めは原則としてないため(民法521条2項、522条2項)、電子の覚書で変更することはできます。ただし、原契約に「変更は書面による」という定めがある場合には、その「書面」に電磁的記録が含まれるのかが論点になります。覚書の中で、電磁的記録・電子署名による変更を認める旨を確認しておくのが安全です。

紙の契約書をスキャンしたファイルは、原本になりますか。

紙の契約書をスキャンしたファイルは、その紙の写しで、原本は紙の契約書です。最初から電磁的記録として作成し、電子署名を付した契約書は、電磁的記録が原本になります。スキャンしたファイルに電子署名を付しても、紙の原本との一致までは電子署名では分からないため、紙の原本は相当な期間、保管しておくのが無難です。

旧契約を解約して、同じ内容を電子で結び直すときの注意点は何ですか。

旧契約から生じた権利義務、秘密保持の義務、知的財産権の帰属、未払の対価や未納品の成果物の扱いが、旧契約の終了で消えたり曖昧になったりしないよう、新契約に引継ぎの条項を置きます。新契約の発効日と旧契約の終了日の関係も、空白や重複がないように決めます。

取引先が電子での締結を望まない場合、電子に切り替えるよう求めることはできますか。

契約の方式は、原則として当事者が自由に決められます(民法521条、522条2項)。相手方に電子での締結を義務づける根拠は、特別な事情のない限りありません。紙で結んでスキャンデータを共有する、署名の手順を説明して不安を解消する、といった方法から選ぶことになります。

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